全て手作業による木造船の製作(スーダン国)
以下の写真はアフリカのスーダン国のナイル川に面する造船所での木造船の製作過程の写真です。電気による動力は全くなく、全て手作業ですが驚くほど素晴らしい曲線の船が出来あがって行きます。
次の写真は竜骨の部分です。丸木舟の船体部分を変化させ、大型化した船体の曲線に会うように削り出し細くして、竜骨に変化したと考えられています。
次は竜骨から徐々に外板を取りつけている写真です。何のフレームもない状態で綺麗な曲線で外板が伸びて行きます。
外板はそれぞれ大きな手製の船釘で斜めに固定されていき、外板どうしの継ぎ目には布が詰められ、浸水を防ぎますが、それも完全とは言えず浮かべている間は、常に小さな桶で水をかき出していました。下の写真では外板の継ぎ目ふさぎの作業で外板の繋ぎ方法が判ります。また、両舷側を繋いでいる梁の影が見えます。この船は3本の梁が両舷側を結んでいました。
次の2枚の写真は完成した船と進水式の様子です。進水式と言っても大勢でコロを使いながら、水辺まで運び、浮かべるだけです。浮かべて係留して水圧がかかった状態で、帆や甲板などの色々な艤装を行います。
このように色々な木造の素晴らしい造船技術を見ると、はるか太古から人が船を造る際の基本的な技術は、そんなに違いはないのかなとも思います。
現代の船は、船体の材料が木造から鉄、ガラス繊維や炭素鋼繊維により補強された樹脂に変化し、それにより竜骨がない船体構造に変化してきています。この変化は、3000年以上の船の歴史の中で、ほんのわずか100年に満たない短い期間で起こり、今も変化し続けています。今後どのように変化していくのか楽しみです。