「ものつくり」と法皇様の車
何時でしたか以下のような文に出会いました。
『一般にものづくりと言うと「匠」の世界の話として紹介しがちであるが、「ものづくり」とは、設計情報をものに作り込み、市場までの「設計情報の流れをつくり、良い設計、良い製品」で顧客や社会を満足させ、結果として売り上げを得る経済活動の事である。「ものづくり」は一つの思想である。』
日本の車は、時代の流れの中で顧客のほしいものは何かを的確に把握し、それを設計に盛り込み、製品として世に送り出し、売り上げを伸ばしてきました。アメリカのビッグ・スリーと言われた自動車メーカーの経営破綻、救済と言う事が大きなニュースになりました。一部ではこれは自業自得、いわゆるKY(空気が読めない)という問題だと言われていました。
ボスニア・ヘルツェゴビナで仕事をしている際に、ローマ法王様(ヨハネ・パウロ2世)の車を見ました。この車は、法王様が外国を訪問される際に使われる車だそうですが、機能一点張り、無味乾燥という表現がぴったりと言う代物でした。これがバチカン法王庁の要求品質???
改造したデリバリー用2トン・トラックのような車ですが、法皇様の前に御話し相手用に2席あり、法皇様の座席は上下します。
後方からの写真は、法王様を沿道に人たちが拝謁出来るように座席が上がった状態です。勿論、周りのガラスは防弾ガラス。出入りは座席の後ろの扉からですが、どのように車から出るかは不明です。多分、座席が回転しスロープが出来て、車椅子になると言う具合だと思います。車椅子の写真はこの座席とそっくりでしたから。防弾ガラスの厚さは5㎝と聞きましたが、このガラス重量だけで約2トン。ガラス周りのフレームも丈夫そうです。しかし、後ろからの写真でお分かりのように、車はイタリア製ではなくドイツ製ベンツでした。イタリアで設計していたら、もう少し法王車と言う雰囲気に成ったのではないでしょうか。
ちなみに車のナンバープレートの SCV はバチカン市国のラテン語Status Civitatis Vaticanæの頭文字です。SCV -1は法王様の車ナンバーです。