阿寒平太の世界雑記

World notebook by Akanbehda

カテゴリー: トレッキング

ランタン・トレッキング記(2)

ランタントレッキングの帰りについて。

ランタンから流れる氷河を眺めたその日は、幾つもの高い山に囲まれたシャングリラ(映画の「失われた地平線」のオリビア・ハッセーの様な美人には会いませんでしたが。)ではとも思われるキャンジン・ゴンパにもう一泊し、次の日の8時前に小屋を出発し、帰路に着きました。

 

道中の道端にあるチベット仏教の祠。中に経典のマニ車が据えられている。

途中、宿泊予定の小屋が一杯で泊まれず、10時間以上歩きづめで下り、予定以上に稼いだせいか、1日行程を早め7日間のトレッキングでカトマンズに帰ってきました。

 

山小屋と言っても村の一角にある民家という感じで、生活臭が溢れています。

ここで山男、山女の皆さん方には言わずもがなの事かも知れませんが、私なりに気付いた事を記載しておきます。

まず10月で日本の高地よりネパールの高地の方が、気温が高いとは言え、相当寒く少々ケチって-15℃対応と言う寝袋を持参しましたが、インナーを使っても寒くて小屋から毛布を借りました。-20℃対応と言う寝袋を旅行社から借りた同行者は寒くなかったそうなので、寝袋は性能が良い物を選ぶべきでしょう。

小屋のトイレは殆どが別棟か、或いは離れた所にあり夜中に部屋から出て、暗い中を歩く必要があります。殆ど電気が来ていない山小屋ではヘッドランプは、それ以外に意外に空き時間が有るトレッキングでは読書や物書きにも必需品です。

トイレは全て洋式トイレではなく、日本の和式トイレの金隠しがない物ですが、トイレット・ペーパーの備えは無く、置いてあるバケツの水を使い手で洗うと言う方式です。紙を使った場合は、置いてある箱に捨てるようになっています。

山小屋は、全て通常の歩く速度で2時間以内の所に散在しており、食事もできますので、持参荷物は食料品を考慮する必要は全くありません。食料としては飴、クッキーなどの嗜好品や、食事の際の副食品程度で十分です。

ただ、朝早く起きる癖が有る私は、食事前にお茶やインスタント・コーヒーを飲むためにガス・ボンベと小さなガス・ヘッドを持参し、役に立ちました。

今回、持参した水容器はnalgeneと言うアメリカ製のプラスチック容器ですが、これは沸騰しているお湯も入れられ実に便利です。寝る前にこれに沸騰しているお湯を貰い、湯たんぽ代わりに寝袋の中に入れ朝、その冷めた水を持参したガスで沸騰させインスタントのスープやコーヒーを毎日飲んでいました。又、余った水はそのまま持参し歩行中に呑んでいました。普通の水を安全な水に処理する[POTABLE AQUA]と言う錠剤も持って行きましたが、全行程、安全の為不味い湯ざましの水を飲んでいました。ネパールでは4,000mを越える所にも村が有りますので、山の水とは言え注意が必要です。

今回、氷のように冷たい水で体を洗う気にもなりませんが、7日間の間に一度もシャワーや風呂には有りつけず、ボディーペーパーを使って体は拭いておりました。介護用のボディーペーパー、髪は拭くペーパー或いはお湯で浸した布で拭くと言う方法で清潔に保つと言う事が必要になります。

トレッキングに持参する荷物は、飲み水、雨具や一時的な防寒着以外は全てポーターが運びますので、自分で運ぶ物は本当に少なくなります。ポーターに託する荷物の重量は通常、一人当たり10kg前後と考えているようです。今回私がポーターに託した荷物は11kg程度でした。

 

我々のポーター。30kg以上を担いですいすいと歩いていく。

 

このトレッキングの時、私は70歳でしたが、こんな年寄りでもこんな素晴らしい所に行けるという事で、自ら感激しました。ガイド、ポーター、同行者の支援なくしては達成できませんでしたが、このランタン谷は本当にシャングリラに通じているのではと思うほどに美しい谷でした。皆様も是非、行ってみてください。

ランタン・トレッキング記(1)

ランタン・トレッキング記(2012年10月22日~28日、7日間)行きについて2回に分けて記します。

日本ではトレッキングと言うと単に山歩き、或いは軽い登山と言う意味で使われていますが、前稿にも書きましたがネパールでは厳密に意味を規定しており、6,000m以下の山歩きをトレッキングとしていて、安い入山料で山歩きを楽しめます。

今回、私はランタン・リルン(7,227m)から流れる氷河を眺めに7日間のトレッキングに行ってきました。このトレッキングルートは、世界で一番美しいと言われているランタン谷を徐々に高度を上げながら、氷河を眺める最終目的地の4,335mのピークまで行きます。

最終目的地のピークから見るランタン・リルンから流れる氷河

このトレッキングに行く前に旅行会社にパスポートと入国ビザ、査証印頁のコピーを提出し、国立公園への入域許可申請し、入山料3,000.-NRsを支払い、手続きは入域する際にガイドが行い、ランタン国立公園事務所で入手してくれました。

カトマンズを7時半頃に出てシャプル・ベンシ(1,460m)迄、旅行社が手配したランクルで行き、13時頃歩きだし死ぬような思いで何とか4時間ほどのトレッキング初日を終わり、その後も常にガイドに見守られながら同行者(40代の弁護士のJICA専門家)より常に30分から1時間ほど遅れながらも、出発から4日目に最終目的地のキャンジン・ゴンバ(3,840m)に到着しました。人によっては1日早く着くと思いますが、我々は高地順応の為、その手前のランタン(3,430m)にも1泊しました。

道端の高山植物

私は高地順応の為、事前に受診した医師より処方されたDiamoxと言う薬を、3,000mを越える前日より服用したせいか、高山病には掛りませんでした。しかし、JICAの「トレッキングの手引き」には過信はするな、と記載されていますので要注意です。

キャンジン・ゴンバ1泊後、早朝8時前に小屋を出て、死ぬような思いで何とかランタン・リルンとそこから流れ出る氷河を目前に眺める事が出来るピークに上ってこのトレッキングの目的を果たしました。

 

「死ぬ思い」だの「トレッキングの目的を果たす」等「トレッキングを楽しむ」とは程遠い言葉を使っておりますが、実際に上っている時は「こん畜生、こん畜生」と言う言葉を実際に吐きながら、5m登っては休み、10m登っては休みと言う状況でした。同行したガイドも、帰路の車の中で「私は登れないのではと思った。」と言っておりました。今、思うと一度でもガイドが「大丈夫か?」等とほざいていたら、その時で登るのを諦めていたかもしれないなと思っています。

いかにも高山に分け入ったような感じの一枚。シャングリラを夢想するもむべなるかな!

しかし、登ったピークからの眺めは実に素晴らしく廻りを標高7,227mのランタン・リルンや 5,000m以上の山々に囲まれ、幾つもの氷河を眼前にすると、それまでの苦労を差し引いても余りある気がしました。(写真参照、烏滸がましくも「NOB」等と小石で書いて写真を撮っておりますが、これもその時の感動を如実に表した児戯とお笑いください。

つづく

ネパールでのトレッキング

ネパールでトレッキングと言ったら、目的地は当然、ヒマラヤ。ヒマラヤと聞いただけで、気分ワクワク、もうヒマラヤの奥地に踏み込む探検家気分。

 

ヒマラヤの奥地に踏み込むと言う状況で、まず頭に浮かぶのは、イギリスの作家ジェームス・ヒルトン(James Hilton)の小説「失われた地平線(Lost Horizon)」に出てくるシャングリラ(Shangri-La)です。

(映画「失われた地平線」の女優オリビア・ハッセー(Olivia Hassey)の何と美しかったことか。コンチクショウ、布施明め!!(遥か昔の事で知らない人の為に付け加えますと、布施明は彼女と結婚し、しばらくアメリカに住んでいたのです。離婚しましたけどね。) 小松左京の「復活の日」の映画で草刈正雄と共演した時も彼女は本当に美しかった!) ヒマラヤの奥地に行ったら、シャングリラのような場所にポッと出るのではないだろうか、そしてオリビア・ハッセーの様な女性と、という期待、期待、期待・・・・・・・。

 

また、このイギリスの作家ジェームス・ヒルトンが今、生きていたら私だったら直木賞いや、ノーベル文学賞をあげてもいいと思います。彼の「心の旅路」「チップス先生さようなら」「鎧なき騎士」などなど全ての作品は心に残るものばかりで、今だったら本屋大賞連発ですね。是非ご一読を。

 

話しがそれましたが、私は、ネパールで過ごした2年間に2回、ヒマラヤの奥地に分け入りました。(まッ、山好きな人に言わせると単なる山歩きとも言えない様なものですけどね。)

1度目は、ランタン・リルン山(Langtang Lirung 7,234m)から流れている2本の立派な氷河を見るためにキャンジン・リ山(Kyangjin Ri 4,552m)に登った旅で、2回目はチベット国境近くにある今は、ネパール国に併合されたムスタン王国を訪ねた旅です。

 

ネパールでのトレッキングは、日本で考えているトレッキングと多少、様子が違います。まず、ネパールでトレッキングというのは6,000m以下の山歩きを言います。3,000mを超す日本アルプス縦走もトレッキングです。何日もかけて現地にある山小屋や、旅籠に泊まって、ヒマラヤの奥に奥にと踏み込んでいきます。踏み込むと言っても、ずっと歩くトレッキングもありますが、ジープや馬の背に揺られてというのもトレッキングです。

チーム構成は、トレッキング参加者3~4名毎に1名のポーターが付きます。それと1名のガイドです。このガイドの同行はネパールの法律で決められているそうです。

さて次回は、いよいよ氷山見物のランタン・リルン山へのトレッキング報告です。

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