最新のプリンター業界の研究課題・バイオ・プリンター
皆さん、ご存じの通りドットプリンターのドットの大きさは、通常、プリンターの解像度によって決まります。解像度は「dpi」(dots per inch)で表され、1インチあたりのドットの数を示します。一般的なドットプリンターの解像度は、例えば、120 dpiや240 dpiなどがあります。解像度が高いほど、ドットの大きさは小さくなり、より細かい印刷が可能になります。
240 dpiの解像度の場合、一つのドットの大きさは、ドット間の隙間を考えると10㎛以下になります。この大きさは、ヒトの体の1個の細胞の大きさ程です。
バイオ3Dプリンターと呼ばれる技術が、再生医療を始めとする医療の分野で期待されています。3Dプリンターの技術は、いまや生きた細胞すらプリントできるレベルに到達しており、今までにない医療の形を実現できるようになりました。
例えば、生きた皮膚細胞を移植した小さなシートを、重度の火傷を負った皮膚に貼付け、皮膚を再生するという治療がなされています。これは簡単な2Dレベルの話ですが、今はもっと高度な3Ðクラスの研究がされています。
皆さんは㈱サイフューズという会社をご存知ですか?サイフューズは、バイオ3Dプリンタで作製した3D細胞製品を、骨軟骨・血管・神経など様々な組織・臓器再生の再生医療等製品として実用化するための開発を進めています。この会社は、プリンターメーカーの富士フイルムから出資を受け、病気のメカニズムの解明やバイオ3Dプリンタの開発を行っています。
この会社は、我々明治大学卒業生にとっては多少、身近に感じる存在です。この会社の社長である秋枝 静香(あきえだ しずか)氏は明治大学農学部農芸化学科を卒業し、九州大学において遺伝子解析・再生医療分野の研究者として従事したのち㈱サイフューズを創業し、国レベルのプロジェクトに参画しています。
我々が、知らない所で工学、理学、医学という多くの研究分野が産業分野を巻き込んで、我々の想像する以上の速度で進んでいることを、ひしひしと感じます。
この写真は、CYFUSE(サイフューズ)という会社の、バイオ3Dプリンターです。この会社は、ミニ臓器を作り化粧品や食品添加物などを摂取したときにヒトの臓器に及ぼす影響予測を可能にしています。
