動き回ることを選択した動物、定着することを選択した植物
大学から60年間、面々と続けてきた建設工学の分野の仕事を卒業し、植物生理学を次の分野と定め、S大学理学部生物化学科に入学し、学び始めました。そこで見知った面白そうな話題に狙いを定め、「阿寒平太の世界雑記」(植物不思議世界編)として皆様にご提供していきたいと考えております。
動物も植物も、原始の世界で一つの生命単位から進化し、動き回ることを選択した動物、片や定着することを選択した植物と言う違いだけです。細胞単位でみると動物も植物もほとんど同じで、植物細胞の場合、細胞内に葉緑体があり、細胞膜の外側に、細胞壁という厚めの外壁があるのが大きな違いです。
動物は、体外から色々な食物を取り入れ、余分なモノや老廃物をうんことおしっこで廃棄します。植物も同じように体外から栄養を取り入れています。それでは余分なもの、老廃物はどうしているのでしょうか。樹木は「立ちション」の対象になっても樹木の「立ちション」は見たことはありません。
植物も、炭酸ガスを取り入れ酸素を吐き出しその際、不要な水を生み出します。植物は根から余分な水分やそれ以外の老廃物を排出しています、謂わば樹木は密かに「立ちション」をしているのです。
ただ、それだけでは十分ではないので、植物は、余分なモノや老廃物を、セルロース繊維を主な成分とする細胞壁に蓄えていきます。
この細胞壁は、細胞分裂と細胞の老化に伴い、樹木の表面に移動し、木化、コルク化で樹木の硬い表面を覆い且つ、樹木が高く立つ構造部位になります。
植物は、定着を選んだだけあって、動物より複雑な生理機能を持っていると言えます。今後このような植物の不思議世界をご紹介していきます。
