私がULP(超軽量飛行機)に乗っていた時、飛行クラブにはTactical Pilotage Chartというた航空地図が準備されていました。この地図は、最新型の電子制御のジェット機にも搭載されているそうです。この地図は、米国ミズーリ州セント・ルイスにある「Defense Mapping Agency Aerospace Center」で発行されており、100㎞角のグリット毎の最低飛行高さが記載されています。また、この地図には地形などの一般の地図情報以外に軍用、民生用も含め全ての飛行場の位置、滑走路長さ、方向などが記載されています。
飛行機が緊急事態になった場合、どこの飛行場にも着陸ができるという国際ルールがあります。そのためこの地図には民間だけではなく軍隊が所有している飛行場も記載されています。下の地図はカイロ周辺の飛行場の位置が記載されています。
沢山の飛行場が記載されていますが、この地図のカイロからアレキサンドリアに向かう道路の上に飛行場マークがあります。これは道路そのものが緊急時(多分、戦争時)の飛行場となる代替滑走路で、通常は高速道路で使用しており、中央分離帯の部分はコンクリートの分離ブロックが置かれていますが、戦時にはその分離ブロックは片付けられて飛行場に早変わりします。このタイプの飛行場はイスラエルやパキスタンでも見ましたが、周辺には離着陸に障害となる看板や街灯が一切なく、道路もまっすぐですからすぐに判断できます。
さてこの地図には、滑走路長さ3,000feet以上の大型の飛行場(地図上の●)と小規模な飛行場(地図上の○)が記載されていますが、エジプトの場合、近くに行くとすぐに飛行場の位置が確認できます。ところがイスラエルでは近くに行っても滑走路は見えず飛行場があるのか確認できませんが、大部分でドーム型の丘が見えますので戦闘機基地かと判断できます。ドーム型の丘はコンクリートの上に土を被せた戦闘機の格納庫だと聞きました。このドームがない所は、地下に格納庫を設置しているのだと聞きました。
長らくエジプトに住み、アラブ側からイスラエルを長く見てきた筆者からは、『イスラエルは、国連決議を守らず、殆ど武器を持っていない人々を、高性能武器で攻撃する』というイメージで、いい感情を持っていません。しかしイスラエルは、周辺をアラブ諸国に囲まれ、国そのものの存在を危うく感じる中で、国際社会から非難があろうと、国連決議も無視し、領土を拡張し、コンクリートの塀を造り、戦闘態勢を構築する事が中東戦争から学んだことなのかもしれません。
(しかし、国際的な責任もかえりみず、状況を悪く悪くするようにアホなことをする西洋歌留多には腹立たしい限りです。)
しかし、イスラエルや北朝鮮の様に国際社会を向こうに回しながらも、国の立場を堅持していくというしたたかな外交感覚は素晴らしいものです。日本の政府も少しは見習ってほしいものです。
日本の場合、周りが海ですので防空体制も大切ですが、加えて海の防衛体制が必要になります。海上自衛隊下総航空基地の基地記念日にP3-C対潜哨戒機に乗せてもらったことがありました。その時の機体は米軍からのお下がりで、乗員11人搭乗可能で米軍が使用していた時は控えの乗員用に休憩用のベッドも備わっていますが、自衛隊の場合は半分の乗員で運用しており、ベッドは無用の長物になっていました。(今は日本でライセンス生産されていますので多分、内部は実情に合わせて変わってきているでしょう。)
朝6時前に3食のお弁当を持って離陸し、夜遅くに着陸するまで東京以北の太平洋側を飛行し、沢山のソノブイを投下し、音響及び磁気、赤外線探査などを行っていきます。機体の諸元では対潜爆弾、魚雷、対艦大型ミサイルなどの武器も搭載可能との事。機体の内部は沢山のソノブイのラックと情報処理用のコンピューターで占められていました。
この搭載されているコンピューターの情報システムは、日本が改良を重ね、現在では日本の対潜哨戒機は世界の中で一番性能がいいとされています。機体も川崎重工業がライセンス生産しており合計で98機を海上自衛隊向けに製造して、その性能は、updateされているとの事。
前稿の「ひこう中年」と言う気楽な話発展して国の防衛と言う話まで飛んでしまいましたが、災害派遣だけではなく日夜、その本来の目的の日本の防衛のため努力している人たちがいるという事を忘れてはならないと感じています。
コメントを残す