ネパールのカトマンズに建つこの宮殿は1974年7月4日まではアジアで一番大きくて且つ華麗な王宮でした。

この王宮はChandra Shumsher( Chandra Shumsher Jung Bahadur Rana)国王が建てたものですが、7つの中庭を持ち、部屋数は1700室もありました。

設計と監理を担当したのは、以前歴史建造物の橋の項で記載しましたラナ家の一員と目されるKumar Nursingh Rana Bahadurです。

これは当時のこの王宮の正面です。これは当時この王様の私邸として建てられたものです。1957年に着工し、ネパール人の工人により1年間で完成したそうです。

フランスのベルサイユ宮殿は、ルイ14世が建てたものですが、700室の部屋を持ち、1661年に着工しなんと完成まで50年も掛ったそうです。

はるか昔からネパールは技術面でも、芸術面でも非常に高いレベルの工人がおり、1645年から10数年掛けて完成した、今は中国に占領されているチベットの首都ラサにあるポタラ宮殿もネパールの工人により施工されたものです。

これは、今も宮殿の正面の屋根の上を飾っているライオンの像です。高い芸術性と冶金技術を示しています。

この宮殿は、7つの中庭を持ち、家具はヨーロッパ諸国から、ステンドグラスが飾られたドアはイギリスから輸入し、シャンデリアはミラノから、ベルギーから輸入した青色の鏡と自国の水晶をかざった噴水がある大広間で、1961年に先ごろ亡くなられたエリザベス二世女王と現国王のフィリップ王子をお迎えし華やかな歓迎式典が開催されました。

これはその大広間です。今は飾られていませんが多くの水晶が周りから噴き出す噴水に揺れ、軽やかな音色を響かせていたのでしょう。

これは中庭の様子です。このような中庭が7つもありました。

残念なことにこの王宮は1974年7月4日に、この王宮内部からの火災で焼失してしまいました。鎮火する迄、2日2晩燃え続け、残ったのはファサードのみでした。今はこのファサードを残し政府の各省庁が入る建物が付属し建てられ、官庁となっています。

下が今現在の官庁建物ですがもし、この宮殿が今もそのまま残っていたら、世界遺産の一つに加えられたかもしれません。そしてネパールはこの近代遺産を含め、より沢山の時代にまたがる世界遺産を保持する国となったのではないかと思います。