この稿は、前稿の「ネパールの年齢を祝う行事・お食い初めから成人式まで」の続きです。

ネパールでも、日本でも青年期を過ぎると、歳をとるまでこれと言った年齢を祝う儀式はありません。日本の長寿を祝う年齢(全て数え年)は、還暦(61歳)、古希(70歳)、喜寿(77歳)、傘寿(80歳)、米寿(88歳)、卒寿(90歳)、白寿(99歳)、紀寿(百寿100歳)と100歳まで8回もありますが、此の年齢を祝うと言う文化をくれた中国と比べて、日本は格段に多い回数です。

中国では、「賀寿」と言い40歳から10年おきに祝う習慣があったそうですが、人間が長寿になるに従って上寿(100歳)中寿(80歳)下寿(60歳)を年齢の区切りとして祝う様になったとか。

ネパールのJankuの祝いの駕籠

此処、ネパールでは「ジャンク Janku」と言う長寿祝いが4回あります。「1回目ジャンク」は77歳7カ月7日目に祝います。「2回目ジャンク」は83歳或いは84歳の祝いで、僧侶が月を見て決めるとの事ですが詳細不明。ネパールの民族によっては、この2回目ジャンクだけを「Chaurasi puja」と言って大切に祝います。84歳と言う歳は1,000回の満月を含み、この歳に達すると八万四千回の生まれ変わりの後、人として生まれ変わると言われています。「3回目ジャンク」は88歳8カ月8日目に祝い、「4回目ジャンク」は99歳9カ月9日目に祝います。ネパールでは、このジャンクは家族だけでなく町内で祝い、家族を含め町内の若者たちがジャンクのお年寄りを、華やかに飾り立てた駕籠に乗せ、時には楽隊もつれ練り歩きます。家族によっては、記念のカレンダーを印刷して配ったりもします。

ジャンクの籠に乗る前にお化粧をして、家の中で祝いの儀式

ジャンクのお年寄りを載せ、練り歩く駕籠

日本の喜寿(77歳)から白寿(99歳)までは、それぞれ草書体や漢字の分解で長寿祝い名称にしており、日本特有と聞いていましたが、此処ネパールにも同じような長寿祝いがあると言うのは、どちらが源流なのでしょうか。喜寿(77歳)を祝う様になったと言うのは江戸時代からだそうですが、そこから考えると源流はネパールかも??それとも博打好きな男が多いと言われるネパールでは、やはり「ぞろ目」がいいのかな?何かネパールがより身近になったような気がした事も確か。

いずれの「ジャンクJanku」も肉を食べないとか、特別な食事やお菓子を食べるとか色々な儀式がある様です。長寿の為の何か食事療法的な意味があるのかも。

ジャンクの祝いを何度か見ましたが、何時もご夫婦が祝われていました。多分、ご主人か奥様のどちらかがジャンクの歳になると、共に祝うのでしょう。なかなかいい風習ですね。

子供の時の祝い、長寿の祝い等を見て来ると、それぞれ多少の違いはあるものの、文化の本質は何か深い所で繋がっているようです。それが人間と言う動物が持っているDNAなのでしょう。